1.人流データが映し出す京都の姿
京都は、美しい景観と豊かな歴史で知られており、年間を通じて多くの人々を魅了します。人々の活動量や移動状況についてデータを元に調査することで、観光や地域経済への影響を見ることができます。特に注目すべきは8割を占める観光客(図1)の行動であり、彼らの行動データは、京都が持つ魅力に好奇心を刺激され、そこに息づく経済活動を明かしています。今回の調査では、京都市を訪れる観光客の行動パターンと、世代別・時間別の活動量に焦点を当て、11/3-11/5の連休期間中に収集した位置情報データを基に分析します。
2.調査元データ
データは弊社アプリ「SilentLog」から匿名化されたものであり、推定情報に基づいています。
データはあくまで弊社サービスで収集したもので、実際とは異なる場合がございます
【データ概要】
調査対象期間:3連休(2023/11/3−11/5)
天気:11/3晴れ [ 26.2℃/13.1℃]、11/4晴れのち曇り[ 25.2℃/14.4℃ ]、11/5晴れ[ 26.5℃/15.1℃ ]
調査対象エリア:京都の分析(京都盆地周辺)
歩行、電車、車移動と推定属性情報
【定義】
京都住民:京都府内に自宅があると推定されるユーザー
観光客:京都府外に自宅があると推定されるユーザー
アクティビティ:1つ目の場所から次の滞在までの移動活動
※推定処理は当社独自の機械学習推定処理を利用
【結果まとめ】
観光客の行動パターン: 11月の3連休を利用して訪れた観光客は、地元住民と比較して2倍以上活動的であり、特に徒歩での観光が多いことが明らかになりました。
移動量と年代別データ: 年代別に見ると、50代の観光客が最も多くの距離を移動しており、20-30代は短距離を移動する傾向がありますが、歩数の平均はこの年代が最も高く、活動的な観光を好むことが示されています。
時間帯と移動手段: 観光客は主に朝7時以降に活動を開始し、夜7時以降は活動が減少します。これは京都の寺院や観光スポットの開閉時間に合わせたものです。京都駅から始まる多くの観光ルートが確認でき、様々な目的地への分散が見られました。
文化的参加: 観光客は京都の自然の美しさや歴史的建造物を訪れることで、地域の文化に深く参加しています。紅葉スポットへの動きは、簡単な移動だけでなく、多様なルートを通じて行われています。
3.観光客による驚異の移動量と年代別データ
まずは京都住民および観光客の時間帯移動種別アクティビティ*件数をみていきます。11月の3連休を利用して京都を訪れる観光客は、地元の方と比較すると2倍以上に活動的であり、特に徒歩での観光が多いことが分かりました(図2)。
* SilentLogアプリでは1つの移動から次の滞在までをアクティビティと定義します
図2. 時間帯移動種別アクティビティ件数
次に年代別に移動距離をみていきます。年代別の人数割合を図3に示します。表1は20代から70代の年代別での平均移動距離、平均移動時間、最大移動距離、最大移動時間を示しています。
年代別のデータでは50代の観光客が最も多くの距離を移動しており、20-30代は比較的短距離の移動に留まっていることが示されています。
図3. 年代構成比
表1. 年代別での平均移動距離、平均移動時間、最大移動距離、最大移動時間
ここから徒歩についてみていきます。表2は歩数データになります。歩数でみると、20-30代の平均歩数が他年代と比べて高くなります。20-30代は徒歩で観光し、移動距離は少ないようです。先ほど移動距離が最大であった50代の観光客をみると、歩数は40-70代と同等であり、適度に歩きながら場所を移動し観光していることが分かります。ただし中には一日に最大で約2.2万歩を踏み出し、その歩数は他のどの年齢層よりも多い方もいることが分かります。図3に示されるように11月の三連休を利用して京都を賑わす観光客の約4割は50代であり、アクティブに活動していることがわかります(表1,2)。
表2. 年代別 歩数平均、歩数中央値、歩数最大値
補足情報として京都住民と観光客の平均歩数を日別で確認します。 次の表4は3連休の日程別での平均歩数および最大値を表しています。京都住民、観光客ともに連休初日11/3の歩数が1番高くなっています。
表4 日別の歩数平均、歩数中央値、歩数最大値
4.人流データで見る旅の形
地図データを通じて、京都駅からの観光客の行動パターンを調査しました(図4)。円の大きさは移動徒歩比を示しています。徒歩範囲ではありません。円中心座標は移動の始点となります。京都駅を中心に、多くの人々が名所へ向かい、名所周辺を徒歩で観光していることが分かります。名所から紅葉スポットへの行き方も単純移動するだけでなく色々回りながら辿り着いているようです。観光名所がなく外れにある紅葉スポットは比較的空いています。紅葉の名所を巡る観光客の歩みは、京都が持つ自然の美しさと歴史的建造物の魅力を最大限に享受している様子を映し出しています。このデータからは、ただ徒歩移動量が多いというだけでなく、その背後にある物語性と、文化や自然への深い敬意が感じられます。
図4. 徒歩移動 歩数
5.人々の歩みが映し出す京都の姿
観光客の方の時間別の行動について、地図上で確認していきます。以下に3時間おきの地図データを示します。円の大きさは移動距離比を示しています。絶対距離ではありません。円中心座標は移動の始点となります。
早朝は車移動の方が活動をし始めますが、7時までは観光客は活動していないようです。徒歩による移動は7-9時から増加し19時以降に減少します。 京都駅周辺を起点とした、乗り物移動(車、タクシー、バス、電車など)を利用した長距離移動距離がみられます。 金閣寺周辺でも車移動がみられるが、移動距離は大きくありません。19時以降の夜間は徒歩者がほぼいません、これは寺院が多い京都では観光できる場所が閉まってしまうため人通りが少なくなる傾向にあると考えます。
移動種別 4-6時
移動種別 7-9時
移動種別 10-12時
移動種別 13-15時
移動種別 16-18時
移動種別 19-21時
移動種別 22-23時
6.AIで観光をより豊かに
京都はただ美しいだけでなく、歴史と文化の宝庫です。レイ・フロンティアはAIアプリケーションを通じて、観光情報を整理し、瞬時にアクセス可能な形で提供する技術を開発しています。旅の途中で仲間とはぐれても、位置情報共有アプリが迅速な再会を可能にし、安心して街を楽しむことができます。さらにお気に入りの場所をアプリに記録することができるため、旅が終わってからも思い出を振り返り、充実感を感じることができるでしょう。AIの導入は観光の未来を豊かにする鍵です。レイ・フロンティアは最新AI技術を駆使し、観光をさらに特別な体験に変えることを目指しています。
お知らせ
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